極上パイロットの一途な執愛
 甘い声でささやかれ、「な、なに言ってるんですかっ!」と思わず叫んでしまった。

 蒼真さんの腕から逃げ出し、真っ赤になりながら「いってきます!」と怒鳴るように言う。

 彼はそんな私を見て、笑いをこらえるように肩を揺らしていた。

 玄関を出てエレベーターに乗りながら「本当に、今までの蒼真さんと別人なんだけどっ!」と不満をもらす。

 意地悪で強引で独占欲が強くて、ちっとも完璧なんかじゃない。それなのに、素を見せる前よりも、今の彼といるときのほうがずっとドキドキしてしまう自分がくやしい。

 心の中で文句を言いながら、自分の服の胸もとをぎゅっと握りしめた。

 それにしても蒼真さんは、どうして今になって私に触れるようになったんだろう。私が勇気を出して部屋に行ったときは、あんなに冷たく拒絶したのに……。

 下降するエレベーターの中でそんなことを考える。

「もしかして、蒼真さんは私から離婚を切り出されたことが不満だったとか?」

 だから強引にマンションに連れ戻して意地悪に振り回して、私が蒼真さんに夢中になってから、改めて自分から離婚を切り出すつもりなんじゃ……。

< 146 / 163 >

この作品をシェア

pagetop