極上パイロットの一途な執愛
 体が離れ、ほっと息を吐き出す。

 助かった。心臓が爆発するかと思った……。

 スマホを手にした蒼真さんが「実家からだ」とつぶやいた。その言葉を聞いて、びくんと肩が震えた。

 蒼真さんのご実家から……。いったいなんの用だろう。

「もしもし」

 スマホを耳に当てた蒼真さんを、緊張しながら見つめる。

「今自宅だけど。なにかあった?」

 相手の電話の声は、私には聞こえなかった。

 けれど「なに。赤ちゃんがどうしたって?」という蒼真さんの言葉を聞いて、体が一気に冷たくなった。

「わかった。近いうちに顔を出すから、詳しい話はそのときに聞く」

 蒼真さんは短く言うと、電話を切った。

「せっかくいいところだったのに、悪い」と謝られ、動揺しながら首を横に振る。

「だ、大丈夫ですけど……、なんの用件だったんですか?」
「あぁ。話したいことがあるから、愛里とふたりで実家に来てほしいって」
「私とふたりで……」

 話したいことというのは、私たちの結婚生活についてだろう。一年経っても妊娠しなかった私に、ご両親は離婚をせまるつもりなんだ。

 あぁ、ついにこのときが来てしまった。

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