極上パイロットの一途な執愛
「ジェット気流の関係で、ニューヨーク便の到着が遅れる見込みです。このままだと成田の着陸ラッシュの時間に被りそうなので、燃料と上空での待機時間の調整が――」

 空港の施設状況や気象情報など必要事項を伝えると、成海さんは「了解」とうなずいた。

「さすが香坂さん。今日もわかりやすくて完璧な引継ぎ」

 成海さんの言葉に、「そんなことは」と首を横に振る。

 OJAの運航管理者は三交代で二十四時間働いていて、私は今日は早番。遅番として午後から出勤してきた成海さんと交代して業務終了になる。

「今日はわりと平和でしたね~」

 隣のデスクで大きく伸びをしたのは、運航支援者としてサポートをしてくれている、二歳年下の中井由奈さん。

 明るく社交的な中井さんはみんなから愛される、私とは正反対の女の子だ。

 中井さんの言葉に、成海さんがうなずく。

「アクシデントが起きるときは、なぜか連発するからなぁ。悪天候とか、急病人とか、機材トラブルとか」
「せめてひとつずつ起きてほしいですよね」

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