極上パイロットの一途な執愛
 パイロット同様、人の命を預かる責任の重い仕事で、運航管理者として働くには国家資格が必要だ。

 OJAの場合は国家資格のほかに、さらに細かい規定や航空機に関する知識が求められる社内資格に合格しなければならない。

 運航部に配属され、運航管理補助者として実務経験を積みながら、ひたすら試験勉強をした日々。念願の資格を取得してからも実践的な訓練を続け、昨年ようやく運航管理者としてひとり立ちすることができた。

 広いフロアには運航管理者のほかにもたくさんの社員が働いていて、国内線・国際線合わせ一日千便近くにもなるフライトが安全に運航できるよう、二十四時間体制で調整している。

 いくつものモニターが並ぶデスクに座り気象情報をチェックしていると、「香坂さん、おはよう」と声をかけられた。

 顔を上げると、そこに立っていたのは先輩運航管理者の成海篤志さん。

「おはようございます」

 成海さんは私より三歳上の三十歳で、短く切りそろえた黒髪がさわやかな印象の男性だ。

「引継ぎはなにかある?」

 その言葉にうなずき、モニターを見る。

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