極上パイロットの一途な執愛
 ゆがんだ顔を見せたくなくて、蒼真さんに背を向け続ける。そんな私の頑なな態度に、彼がため息を吐き出すのがわかった。

 気まずい沈黙が流れる。
        

「やっぱり素の俺を知って、幻滅したか?」
  
 ぽつりとつぶやかれた言葉に、驚いて振り向いた。私を見つめる彼の顔には、苦しそうな表情が浮かんでいた。

 どうしてそんな傷ついた顔をするの?
 意味がわからず混乱する。

「そんなこと――」

 私が首を横に振ったとき、蒼真さんのスマホが震えた。
 画面を見た彼が、息を吐き出す。

「迎えのタクシーが来た」

 そう言って、荷物を持ち私を見る。

「愛里。帰ってきたら、ちゃんと話そう」

 その言葉を残して、蒼真さんは出ていった。

 バタンと玄関のドアが閉まり、私はその場にしゃがみ込む。

 数日前までは、いってらっしゃいのハグやキスをしていたなんて信じられないくらい、私たちの関係はぎこちなくなってしまった。

 彼の温もりを思い出すように自分の肩を抱いてみたけれど、さみしさが増すだけだった。

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