極上パイロットの一途な執愛
 真顔で苦言を呈する父に、私は慌てて口を開く。

「口説くわけがないでしょう。朝比奈副機長はお父さんとお母さんを安心させるために、気を使って褒めてくれてるだけなんだから」

 父に向かってそう言ってから、朝比奈副機長に頭を下げた。

「父も母も、親バカですみません」

 表面上はなんとか平静を装っているけど、内心恥ずかしくてたまらなかった。本当に、穴があったら入りたい。

 謝る私に朝比奈副機長は「いや」と穏やかに首を横に振る。

「香坂さんは、運航管理者を目指しているんだね」
「運航部に異動して、まずは支援者として経験を積んでいるところで……。先はまだまだ長いですが」
「運航管理者は難関資格だもんな」
「気象学とか航空法規とか専門用語が多くて、本当にむずかしいです」

 私が本音をもらすと、朝比奈副機長が目を細めてこちらを見た。

「もしよかったら、俺がアドバイスをしてあげようか」
「え?」
「運航管理者とパイロットは一緒に働く仲間だから、教えられることは多いと思う」
 現役のパイロットから教えてもらえるなんて、そんな貴重な機会はめったにない。
「いいんですか……?」

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