極上パイロットの一途な執愛
 過保護な父がふたりきりになることに渋い顔をするから……、というのが表向きの理由だけど、本当は彼を部屋に入れたくないから。

 部屋にある大量の少女漫画を見られたら、あきれられるに違いない。それどころか、気持ち悪いと思われるかも……。

 学生時代の元カレの反応を思い出すと、今でも胸に痛みが走る。

 そして始まった勉強会。最初は彼のことを朝比奈副機長と呼んでいたけれど、『香坂さんがいやじゃなければ、名前で呼んでほしいな』とお願いされた。

 私が『蒼真さん』と呼ぶようになると、彼も『愛里』へと呼び方を変えた。
 男性に名前で呼ばれるなんて初めてで、心臓が勝手にドキドキと音をたてる。

 だけどそのたびに、私は大きく深呼吸をした。

 私には現実の恋愛なんて向いてないし、彼とは不釣り合いだってちゃんとわかってる。
 蒼真さんの顔を見るたびドキドキしてしまうのは、彼が好きだからではなく、漫画のヒーローに似ているからだ。そう自分に言い聞かせた。


 
 グランドスタッフとして働いた経験と、蒼真さんからのアドバイスのお陰もあり、運航支援者としての日々はとてもやりがいがあり充実していた。

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