極上パイロットの一途な執愛
 漫画の中のヒーローとヒロインのように、お互いを想い合い、助け合い、愛し合い、そしていっぱいいちゃいちゃする、そんな幸せな夫婦になれたら……なんて新婚生活への期待で胸をふくらませていた。

 ……だけど一緒に暮らし始めたものの、待っていたのは寝室は別々で体が触れ合うようなこともしない、まるで他人と同居しているような距離を置いた生活だった。

 結婚して数カ月で、蒼真さんは私のことを愛するつもりはないんだと思い知った。

 じゃあ、どうして蒼真さんは私なんかと結婚したんだろう……。そんな疑問を抱いた私が思い出したのは、今までの彼と父とのやりとり。

『――尊敬する香坂専務の言葉には、一生逆らえませんから』

 蒼真さんは私の父に向かって、いつもそう言っていた。

 そうだ。父は蒼真さんが憧れる先輩パイロットであると同時に、OJAの専務。現役パイロットの蒼真さんにとって、父は絶対的な存在だ。

 そんな父の命令を断れば、蒼真さんのパイロットとしての地位が危うくなる。

 だから彼は、娘と結婚しろという父の強引なすすめを断りきれず、仕方なくうなずいたんだろう。

< 74 / 163 >

この作品をシェア

pagetop