極上パイロットの一途な執愛
 私がそう言うと、蒼真さんは「男かよ」とつぶやいた。

 彼らしくない乱暴な口調に驚いていると、蒼真さんは大きく息を吐き出して私を見つめる。

「頼むから、マンションに戻ってきてほしい」

 そんなことを言われるなんて思っていなかった私は、驚いて首を横に振る。

「無理です。蒼真さんとはもう離婚するんですから」
「どうして? ようやく約束の一年が過ぎたのに」
「その一年が過ぎたから、離婚するんじゃないですか!」

 小さな頃からずっと、少女漫画のような恋愛に憧れていた。おはようのハグをしたり、いってきますのキスをしたり……そんな甘い新婚生活を夢見ていた。

 でも幸せな結婚生活を願っていたのは私だけで、蒼真さんはつねに私から距離を置き、触れることさえなかった。

 夫婦なのに他人のように気遣われ続ける生活は、とてもさみしくてむなしかった。
 それに……。


『――一年経っても赤ちゃんができないようなら、お相手を考えなきゃね』


 蒼真さんのご両親の会話を聞いたときのショックが生々しくよみがえり、胸が苦しくなる。

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