極上パイロットの一途な執愛
 夢の中で無意識だとはいえ、さわやかで紳士的な蒼真さんに、俺様なセリフを言わせてしまうなんて。
 いけない妄想をしてしまったようで、ものすごく後ろめたい。

「あんな夢を見ちゃったのは、絶対これのせいだ」

 そう言いながら、枕の横を見る。
 そこにうず高く積まれているのは、漫画の本だ。

 航空会社で働くドジだけど一生懸命なキャビンアテンダントのヒロインと、自信家のエリートパイロットのヒーローのラブコメディ。

 主人公のふたりは意地っ張りで顔を合わせるとケンカばかりしているけど、実はヒーローはヒロインのことを溺愛していて、ふたりきりになると情熱的に口説く。

 甘い言葉をささやきながらヒロインを振り回すヒーローのドSな俺様っぷりがたまらなくかっこよくて、きゅんきゅんする漫画だ。

 昨夜、寝る直前まで読んでいたせいで、この漫画のヒーローに蒼真さんを重ねてしまったんだろう。

「いくらなんでも、都合のいい夢を見すぎ」

 本を手に取り、パラパラとページをめくりながらつぶやく。

「だいたい優しい蒼真さんが、強引に壁ドンなんてするわけがないし」

< 9 / 163 >

この作品をシェア

pagetop