社長、その溺愛は計算外です
第1話 君は、俺のもの
「今夜から──君は、俺のものだ」
低く、熱を帯びた声が耳元に落ちる。
逃げ場のないエレベーターの中で、私は壁に追い詰められていた。
目の前にいるのは、普段は冷静沈着な若きIT社長──桐原圭佑。
彼の長い指が、私の手首に絡んでいる。
「桐原、社長……っ」
「ここでは、その呼び名は──」
彼がさらに一歩踏み込む。言いかけた言葉を、自分で飲み込むように。
そもそも、どうしてこんなことになったんだっけ。
事の始まりは、数時間前のことだった。
◇
新宿の高層ビル最上階。
シャンデリアが輝く特設会場は、まさに「選ばれた者」たちの戦場だった。
参加費数万円。招待制、かつハイスペック限定のシークレット・パーティー。
私、新谷|梓、二十九歳は、最後の賭けに出ていた。