社長、その溺愛は計算外です

第1話 君は、俺のもの


「今夜から──君は、俺のものだ」

低く、熱を帯びた声が耳元に落ちる。

逃げ場のないエレベーターの中で、私は壁に追い詰められていた。

目の前にいるのは、普段は冷静沈着な若きIT社長──桐原(きりはら)圭佑(けいすけ)

彼の長い指が、私の手首に絡んでいる。

「桐原、社長……っ」

「ここでは、その呼び名は──」

彼がさらに一歩踏み込む。言いかけた言葉を、自分で飲み込むように。

そもそも、どうしてこんなことになったんだっけ。

事の始まりは、数時間前のことだった。



新宿の高層ビル最上階。

シャンデリアが輝く特設会場は、まさに「選ばれた者」たちの戦場だった。

参加費数万円。招待制、かつハイスペック限定のシークレット・パーティー。

私、新谷(しんたに)|梓(あずさ)、二十九歳は、最後の賭けに出ていた。
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