没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています

第1章 女神と婚約破棄

セレスティア・フォン・ヴァルディア。

――それが、私の名前。

王都でその名を知らない人はいないらしい。

ミルクティーベージュの髪に、白い肌。慈愛に満ちた微笑み。

いつの頃からか、人々は私を“女神”と呼ぶようになった。

「ありがとう、セレスティア様……」

震える声でそう言ったのは、城下から訪れた老婦人だった。

膝を痛め、歩くのも辛そうで……見ていられなくて、私はそっと手を差し伸べる。

「大丈夫です。少し、力を抜いてくださいね」

優しく包み込むように手を重ねると、ほんの一瞬だけ、淡い光が宿る。

――気づかれないように。

「……あら……歩ける……?」

老婦人は信じられないというように足を動かし、何度も何度も頭を下げた。

「女神様だ……本当に……」

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