諦めた恋心に想いを寄せる

プロローグ





     「………いっ、一ノ瀬くん。私と――」
     
     勇気を出した、桜が舞う卒業式の季節。
     
     きっと私、声が裏返っているんだなぁ、と思っている暇など全く無い。
     
     「…っ、無理。てゆうか俺、お前のこと好きじゃねぇし。俺が好きなのは、お前の親友の石川だし」
      
     瞬殺された私の初恋。
     
     「――えっ」
      
     きっと私のこと、好きなんだと思っていた。
     
     「…っ、そっか。なんかごめんね」
      
     涙が流れないように目をぎゅっと瞑って笑うしかできなかった。
     流れそうになる涙を堪えるので精一杯だった。
     
     「…そっ、それじゃ、私、用事あるから帰るね。今日は時間とってくれてありがとう。無駄なことに時間とってごめんね」
      
     言い訳すぎたかもしれない。
     だけど、この言葉しか思い浮かばなかった。
      
     私は一ノ瀬くんをおいて、走って校門を出て行く。
    
     「…は?」
      
     呟く一ノ瀬くんの声が耳の中に入っていく。
      
     走って帰る私の目には、涙が溢れていた。

      



      その瞬間、私の初恋は終わったのだ。






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