Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-


「…寝るか」


蒼は私を持ち上げて、ゆっくりとベッドに寝かせてくれた。

天窓から無数の星が見える。暖炉の火が消えて暗闇の中で、宝石のようにひきしめあう星達。

私はここに来てから、この景色が大好きだった。

こんなたくさんの星を肉眼で見れるなんて、思ってもいなかった。


蒼の腕の中で、首筋の紋章が脈動するたびに、彼の存在が私の中に流れ込んでくるような感覚がする。


鼓動の音が、一つに混ざり合っていく。


「……紬」


暗闇の中で、蒼が私の名前を呼んだ。その声は、いつもよりずっと低く、掠れている。


彼がゆっくりと身体を起こし、私を見下ろした。

彼の瞳には、番人としての理知的な光は消え失せ、ただ私を渇望する一人の男性としての色が濃く浮かんでいる。


「……まじないの熱、まだ消えていないのか?」


「うん。まだ、熱い」


私は自分の指先で、先ほど刻印をされたばかりの首筋をなぞった。
蒼は私の指を取り上げると、その紋章の上に、もう一度唇を落とした。

焼けるような熱が全身を駆け巡る。


「……なら、もっとお前の体温を上げてやる」



蒼がそう呟くと同時に、私は背中の布団を掴むことしかできなくなった。



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