Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-
紋章が熱を持ち、私の肌に同化していく感覚。
「……蒼」
「これでいい。もう、誰もお前を連れ去れない。…俺の魂が、お前を拒む世界を焼き払うからな」
蒼の瞳が、深く、黒く淀むほどに熱い。
彼は私の身体を後ろから抱きすくめ、刻まれたばかりの紋章を、確かめるように指先で何度もなぞった。
「これで、お前が俺のものだと証明できた」
それは、独占欲そのものの抱擁だった。
私は震える手で、私の首を抱きしめる彼の腕を重ねた。
もう、二度と戻れない。
この紋章が刻まれた瞬間、私の運命は、蒼という孤独な番人の運命と完全に繋がってしまったのだから。
「熱い……」
「定着するまでは、熱いかもしれない……俺の魂の半分は、確かにお前の中に置いてきた」
蒼はそう呟くと、私の髪を優しく梳きながら、子守唄のようにゆっくりと私の背中を叩いた。
暖炉の火はゆらゆらと揺れ、二人をオレンジ色の光で包み込む。
刻印の熱と、蒼の温もり。
私を求めてくれる彼の力強い抱擁に包まれて、私は幸せだと静かに思う。
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