恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
手元の書類に視線を落としたまま、そっと指を動かす。
画面の文字を追いながら、心の中で静かに呟く。

(信じるって、決めたから……)

あのとき。
迷いなく言葉を重ねてくれた声を。
逃げずに向き合ってくれた、あの視線を。

それを、疑う理由はどこにもなかった。

だから、揺れない。
揺れたくない。
幸子は、背筋を伸ばした。
その動きは小さかったが、自分の中でははっきりとした変化だった。

やがて午前の業務が一段落した午後1時過ぎ、やっと休憩に入る。

(祖母の様子を見に行こう)

そう思って席を立つ。
病棟へ向かう廊下は、窓から差し込む光で温かい。
幸子は、ホッと息を吐く。

病室の前に立ち、軽くノックをしてから扉を開ける。

「おばあちゃん」

呼びかけると、ベッドの上で食事をしていた祖母は幸子へ顔を向けた。
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