恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
「あら、来てくれたの」

その声は、前よりも少しだけしっかりしている。
それだけで、胸の奥がやわらかくなる。

「体調、どう?」

「ええ、だいぶ楽よ」

穏やかなやり取り。

その中にある安心感が、静かに広がっていく。

椅子に腰を下ろし、他愛のない会話を続ける。
その時間は、穏やかで、やさしかった。

やがて、廊下から足音が近づいてくる。
規則正しく、迷いのない足取り。
幸子の心臓が、わずかに跳ねた。

ドアがノックされる。

「失礼します」

聞き慣れた低い声。

反射的に背筋が伸びる。
扉が開き、松澤が入ってきた。
白衣をまとい、いつもと変わらない落ち着いた表情。

けれど、視線が、一瞬だけ重なる。

それだけで、空気がわずかに変わった気がした。
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