恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
祖母は何も言わず、ただ話を聞いていた。
その沈黙が、優しかった。

「……そう」

やがて、ぽつりとそう言う。
責めるでもなく、驚くでもなく。
ただ受け止めるような声だった。

「……どうしたらいいのか、わからなくて」

幸子は、視線を落としたまま続ける。

「嬉しいのに……私が先生の足枷になるようで……怖くて」

正直な気持ちだった。
隠すことも、取り繕うこともできなかった。

「そうよね」

祖母はそう言って頷き、幸子の気持ちを否定しなかった。
そして、子猫の背中を撫でながら、続ける。

「幸せってね。目の前に来たときに、ちゃんと気づける人ばかりじゃないのよ」

やわらかな声だった。

「それにね、気づいても、手を伸ばせない人もいるの」

その言葉が、幸子の胸に静かに落ちてくる。
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