恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
休日の午後。
街は穏やかな人の流れに包まれている。
その中で、幸子はそわそわと落ち着きを失くしていた。

「……緊張してるか」

隣から、松澤の低い声が落ちる。
幸子は少しだけ苦笑した。

「顔に出てます?」

「少しな」

そう言いながら、松澤は歩幅をゆるめる。
そのさりげなさが、今はありがたかった。

「でも、大丈夫です。ちゃんと、自分の気持ちを伝えたいんです」

松澤は何も言わなかった。
ただ、その代わりに、ほんの一瞬だけ指先が触れる。
それだけで、不思議と呼吸が整った。

大通りから一本入った所にある落ち着いた感じの喫茶店。
その店へ入ると、真田はすでに席についていた。

「真田先生。遅くなってすみません」

「いや、私が早く着き過ぎたんだ。今日は、二人そろって来てくれたんだな」

そう言って真田は、二人へ席を勧める。
注文を終えたあと、ほんの短い沈黙が落ちた。

「あの、今日お呼び立てしたのは、これを見て頂きたくて……」
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