恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
午前の最後の患者が帰り、松澤は細く息を吐き出した。
昼休みの、ほんのわずかな空白。

だが、その短い時間に限って、意識が逸れる。

――倉田。

俯いたままの横顔が、ふいに浮かぶ。

さっきのやり取り。
あの会話。

(……考えすぎだ)

そう切り捨てる。

あれは、ただの雑音だ。
気にする必要はない。

それでも。

ふと、昨夜のことがよぎる。

子猫を抱えて、一生懸命に手当てをしていた横顔。
大丈夫だとわかって、ホッと息を吐いたあとの笑顔。

そして……台所に立つ後ろ姿。

(……気になるな)

気づけば、スマートフォンを手に取っていた。

一瞬、指が止まる。

連絡する理由は、ある。

猫の様子の確認。
それだけだ。
それ以上の意味はない。
……ないはずだ。

松澤は、短く息を吐くと、画面を開いた。

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