恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
その瞬間、松澤の手が、そっと幸子の肩に触れた。
強く引き寄せるわけではない。
ただ、そこにあることを確かめるように。
 
「……倉田」

名前を呼ばれた瞬間、胸が強く打つ。
視線が絡み合い、もう逸らすことはできなかった。

「ちゃんと、言う」

低い声が、迷いなく落ちる。

その一言で、空気がピンと張り詰めた。
心臓は追いつかず、息が浅くなる。

松澤はほんの一瞬だけ視線を外し、次の瞬間にはもう迷いを切り捨てるようにこちらへ戻していた。

「俺は……お前がいい。他はどうでもいい。釣り合うとか、立場とか、そんなものは最初から考えてない」

距離が、ゆっくりと縮まる。
もう逃げ場はない。

「一緒にいたいと思ったのが、お前だった。それだけだ」

自分には関係ないと思っていた世界が、すぐ目の前にある。

気づけば視界が滲んでいた。
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