捨てたものに用なんかないでしょう?

24  リミアリアのものは私のもの ※フラワSide

 リミアリアとアドルファスの婚約の話を進める前に、まずは、リミアリアに子爵の爵位が授与された。現在は爵位だけで、領地は改めて配分されることになっている。
ふたりの婚約の話は、リミアリアに爵位が授与され、正式に婚約が決まった次の日に王家から発表された。
 国中がお祝いムードにあふれる中、リミアリアの実父と継母は頭を抱え、フラワは悔しさで体を震わせていた。

「まさか、リミアリアがアドルファス殿下に気に入られていたなんて!」
「リミアリアめ! わざと言わなかったな!」
「学園での話をもっと聞いておくべきだったわ。あなたは知らなかったの?」
「リミアリアのことなんて興味がなかったんだよ!」

 リミアリアの継母ホリーと実父であるテイランは談話室のソファに座り、頭を抱えていた。フラワの弟は興味がないため、ここに集まっていない。
 テーブルを挟んで向かい側に座っているフラワは、両親に向かって不機嫌そうな顔で叫ぶ。

「リミアリアはきっと、アドルファス殿下の弱みを握ったに違いありません! アドルファス殿下はリミアリアに脅(きょう)迫(はく)されたんです! 私に見向きもしないのも、それが理由だと思います! この婚約は許されないことです!」

 リミアリアのものを奪うことに執着しているフラワは、どうしても彼を自分のものにしたかった。

(リミアリアにアドルファス殿下が落とせるなら、私にだって絶対にできる)

 どこから湧いてくるのかわからないが、フラワにはそんな自信があった。
 だが、危ない橋を渡りたくないテイランはフラワに言った。

「今回はリミアリアを家族だと認め、私たちはおこぼれをもらうことにしないか?」
「……何ですって?」

 フラワは眉間のシワを深くして尋ねた。

「第二王子殿下と結婚だぞ? 結(ゆい)納(のう)金はたっぷりもらえるだろう。リミアリアから金を引き出せば、我が家の暮らしも楽になるぞ」
「お父様! 本気で言っているのですか? アドルファス殿下の相手はあのリミアリアなのですよ!?」
「そうだ。あのリミアリアなんだ! 学園に行かせてやったり、衣食住の面倒もみてやった。あいつには金を使ったんだ。倍返ししてもらわないと困る」

 テイランにとって、リミアリアは実の娘だが、親が決めた結婚相手との子供だったため、愛情などなかった。

(リミアリアとアドルファス殿下を結婚させる? アドルファス殿下は、馬鹿なエマオとは違うし、結婚という契約をしたあとなら、私の誘惑にでもなびくことはないでしょう。こうなったら、やっぱりあの手しかない)

 フラワは笑みを浮かべ、テイランに話しかける。

「お父様、私がリミアリアからアドルファス殿下を奪えばいいのではないですか? そうすれば、お金も名誉も手に入れることができます」
「そうね。それはとてもいい考えだわ! フラワならできる!」

 ホリーも手を叩いてフラワの話に賛成したが、テイランは首を横に振った。

「いや、失敗した時が大変だ。リミアリアを懐柔するほうが楽に決まっている」
「絶対に嫌よ!」

 自分の意見が通らないことに腹を立て、フラワはテーブルの上に置かれていたティーカップをテイランに投げつけた。

「リミアリアのものは私のものよ!」

(アドルファス殿下を私のものにするためなら、何だってしてやる)

 フラワは、そう思いながらテイランに怒鳴られる前に部屋を出た。
 そして、彼女に夢中になっている、とある公爵家の三男に連絡を入れることにした。
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