夏に咲く花の香りは。

優柔不断の君だから

私は自分が分からなくて困っている。
私が生きている意味は何なのだろう。
私の前世は何だったのだろう。
私は全部自分で決められない。
私の事は好きでも嫌いでも無い。
私という者は何者なのだろう。
涼葉「はっ…」
また同じ夢を見てしまった。
時刻は六時四十五分。学校に行かないと。
私は歯を磨いて、決まった朝食を摂る。
母にいつも通りの挨拶をして、そしていつも決まった通学路を歩く。
当たり前の、何も変わらない日々を過ごす。
学校に着いたら、決まった席に座る。そして決まった授業を受ける。
ふと考えてしまった。世界は決まったルール(校則)で出来ているんじゃないか。と
この考えが正しいかは分からない。間違いかもしれない。答えは誰にも「分からない。」
「川本ー。ここの問題、解いてみろ。」そう先生に言われて、私はハっとした。
涼葉「……考え事をしていたので聞けてませんでした。」
と、私が答えると、クラスの一軍女子がクスッと笑った。
そんな事はどうでも良くて、せーちゃん(星藍)が私から見える様な、やや大きめの拍手をしてくれていたのだ。
先生からは、「何でこんな簡単な問題も出来ないんだ。」と怒られたが、たった一人の私の親友に認められたのだから、それだけで良かった。
放課後。「涼葉。一緒に帰ろ。」と、せーちゃんに誘われて、私は心が踊る。もちろん一緒に帰ることにした。
「そういえば、○時限目の時、先生に当てられてたでしょ。考え事って何だったの?」と、自販機で炭酸を買いながら、彼女は問う。
涼葉「考え事って言っても、そんなに深刻なことでは無いんだけどね。」
「うんうん、それで何を考えてたの?」と興味ありげに聞いてきた。
涼葉「…私って、全部自分で決められないんだ。」
彼女は決して、私が発した言葉に驚きを見せなかった。
「それはつまり、優柔不断って事だ。決められないことは、別に不思議じゃないし、無理して決めないといけない。という事は無い。」
と発した彼女の瞳は、私の事を受け入れてくれるかの様に、真っ直ぐで美しかった。
涼葉「せーちゃん…! ほんとにそうだよ。優柔不断でダメなことなんて無いんだよね。」
「ははっ、うん。あれっ、あそこ見て。綺麗な水平線。」
彼女が指差した方を見てみると、海に広がる水平線が見えた。
すごく綺麗で、思わず見とれてしまいそうだった。
涼葉「あの水平線をもっと近くで見に行きたいな。」
「いいね。行こっか。」そう言う彼女の瞳には、真っ青な海に広がる水平線が映っていた。
海に辿り着いたら、私たちは砂浜に落ちている貝殻を拾ったり、水遊びをして、パシャパシャと水をかけあいっこしたり。
とても楽しい時間は、あっという間に過ぎていった。
「水平線、近くで見るとより綺麗に見えたね。今日は楽しかった。また来ようね。」
と、彼女は今までに見たことの無いような笑顔を見せてくれた。
涼葉「うん、私もまたこうして遊びたい。とっても楽しかったよ。ありがとう!」
私たちは解散して、私はいつも通り家に帰る。決めないといけない事なんてない、生きてゆく理由なんて、必要無いんだ。
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