夏に咲く花の香りは。

夏の匂いがする

わたしは夏が大好き。
毎年、うちの家は夏に旅行をする。
そのこともあって、夏の思い出は計り知れない程に沢山ある。
その中でも、宝物になっているのは、お母さんから貰った「貝殻のイヤリング」だ。
学校にイヤリングをつけて行く程のお気に入り。
夏実「行ってきまーす。」
わたしは家を出て学校へ向かう。
教室に入ったら、みんなに挨拶をする。
「おはよー。夏実は今日も元気だね。」
「あっ、なっつーまたイヤリングつけてきてんじゃん。」
そう言われて、わたしは元気よく頷いて、笑顔でこう言う。
「えっへへ。めちゃお気になんだよねー!」
そう言い終えた瞬間、チャイムが鳴った。
そして授業を受ける。わたしはバカで、勉強もろくに出来ない。
頭が空っぽで、何も理解できずに授業が終わった。
休み時間だ。昨日忘れてた宿題を提出しに、わたしは急いで廊下を駆け抜けた。
提出が終わって、「ふぅ。」とため息をついていた頃、ふと耳たぶを触った。そしてイヤリングをつけていない事に気づいたわたしは、焦りまくってパニックになっていた。
そんな時。職員室に駆け込むと、西野さんが居た。彼女とは顔見知りで、話した事は数回程度だ。
よく見ると、落し物を届けていたみたいだった。もしかすると。と思い、聞いてみたら、わたしが落とした貝殻のイヤリングだった。
夏実「それ、わたしのイヤリングです!拾ってくれてありがと。」
「まぁ。そうだったんだね。このイヤリング、とても素敵。」
夏実「でしょ。昔お母さんから貰った、宝物なの。」
「宝物かー。いいね。風田さんの大事なもの、拾えてよかった。」
そう言われ、わたしは少し困惑した。でも、きっと性格がいい子なんだな。とも思った。
夏実「うん。拾ってくれてありがと。じゃあわたしは行かないと。バイバイ。」
「うん。お気をつけてね。」
放課後になり、空は夕焼けの琥珀色だ。
わたしが一人で帰ろうとしたその時、誰かに声をかけられた。
振り返ると、そこに居たのはまさかの西野さんだった。
「あの、良ければいっしょに帰らない?」
夏実「え、ぜ、全然おっけー!」
そうしてわたしは、西野さんと一緒に帰ることになった。
話す話題がなくて、わたしが話を振ろうと思ったら、突然西野さんが言った。
「呼び方、柚乃でいいよ。」
夏実「じゃ、じゃあ、ゆずちゃん!」
「えへへ、よろしくね、なつみちゃん。」
「なつみちゃん」なんて言われてしまって、何だかすごく嬉しかった。こんな感情、初めてだった。
あれから数ヶ月が経過し、待ちに待った「夏休み」に突入した。
あれは夏休み前の事。「なつみちゃん。もし良かったら、夏休みご一緒に、遊ばない?」
そう言ってくれたのは紛れも無いゆずちゃんだった。
友達として、好きな人に誘われたんだ。答えは一つしかない。
夏実「うん、もちろん遊ぶ!」
「やったー!楽しみだな〜。」と彼女は、ほわほわした笑顔で言った。
わたしも楽しみで仕方がなかった。四六時中、その事ばかり考えてしまっていた。
遂にその日がやって来た。待ち合わせ場所は、浜辺にあるお洒落なカフェ。
わたしは気合いを入れて、とびっきりのおめかしをして、カフェに向かった。
カフェの目の前まで来てしまった。すごく緊張する。彼女の後ろ姿が見え、胸がキュッとなった。
よし、勇気を出して入らなければ。ガラス張りのドアが開くと、ゆずちゃんがこっちを向いた。
「なつみちゃーん!こっちだよー!」彼女は呼びかける。
夏実「や、やっほー!」
ゆずちゃんは落ち着いて話す。「ここのカフェね、私のお気に入りの場所なの。」
夏実「そーなんだ。きれいな海が見えて、ステキだよね。」
「うふ、そう言ってもらえて嬉しいな。」と、優しく微笑みかける。
何だかゆずちゃんといる時だけ、心地よい居心地になる様な気がする。
外に出て、空気を吸う。ここからだと、
「夏の匂いがする。」 
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop