総長は、私にだけ甘すぎる。

第1話 出会いは、最悪だったはずなのに

夜の街は、昼とはまるで別世界だった。

ネオンが滲み、アスファルトに光が反射する。

笑い声と怒鳴り声が混ざり合って、どこか現実じゃないみたいな空気。

私はその街の外れにある路地の前で足を止めた。

「……ここ、通れるって書いてあったけど」

スマホの地図は圏外を示している。

遠回りすれば20分。

でも、この路地を抜ければ5分でバイト先に着く。

「……行くしかないよね」

小さく息を吐いて、一歩踏み出した。
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