総長は、私にだけ甘すぎる。
その瞬間だった。

――ガシャンッ!!

金属がぶつかるような音。

続いて、低い怒号が響く。

「逃がすな!」
「黒龍をナメてんじゃねぇぞ!」

黒龍。

その言葉を聞いた瞬間、背中が一気に冷えた。

この辺では知らない人間はいない。

関わったら終わり。

そう噂される、最も危険な名前。

私は反射的に壁際へ隠れた。
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