総長は、私にだけ甘すぎる。
先生が席を指す。

「じゃあ、あそこの空いてる席な」

――そこは。

私の、隣だった。

「は……?」

思わず声が出る。

彼は何も言わずに歩いてくる。

一歩ずつ近づくたびに、昨日の記憶がよみがえる。

壁に押し付けられたこと。

冷たい声。

「二度と来るな」

その本人が。

何事もなかったように隣に座った。
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