総長は、私にだけ甘すぎる。
「入れ」

先生の声。

その瞬間、空気が変わった。

一気に教室が静まる。

ゆっくりと入ってきたその人を見て――

私は息を止めた。

間違えるはずがない。

あの目。

あの空気。

黒龍。

昨日の男。

「……黒崎蓮だ」

低い声が響く。

教室がざわつく中、私だけが動けない。

視線が合った瞬間――

彼は一瞬だけ目を細めた。

すぐに逸らされたけど。

心臓が嫌なほど鳴っていた。
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