推しの妻になりました〜アイドルと契約結婚〜
第37話 陽だまりのBBQ②

楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
耀一さんには奥様と娘さんがいた。
その娘がTOMAの膝に乗ってきて……。
「せーちゃん、せーちゃん! いっしょにあそぼ!」
「……後でな。今はメシ食ってんだろ」
「えー! はやくはやく!」
「わーった、わーったよ。ほら、なにすんだ?」
「えっとねー」
2人の可愛らしいやり取りを見ていると自然と苺依の頬も緩む。
口では悪態をつくTOMAだけど、彼の手は優しく凛ちゃんの頭を撫でていた。
(なんだかんだで、やっぱり優しいよね。子供好きなのかな)
「せーちゃーん!」
「はいはい! 今行く」
結局、凛ちゃんに付き合うTOMAは根っからの子供好き。
(なんか、いいパ……)
「いいパパになりそうでしょ」
「っ!!??」
心を先読みされて心底驚く苺依に耀一さんが微笑みかけた。
「え……はい、そうですね……」
「あいつ、めちゃくちゃ子供好きで、よく凛の相手してくれてる」
「子供好き、なんですね」
「うん。だからあいつには好きな人と結婚して、子供産んで、幸せになって欲しいって思ってる」
「……はい」
「征志郎が苺依ちゃんを連れてきたって聞いた時は本当に驚いたけど、嬉しくもあったんだ」
「………」
「ようやく自分から好きだと言える人が見つかったんだなって」
「え、どういうことですか?」
「あいつはね……」
少し悲し気な表情をした耀一さんは、淡々と言葉を紡ぐ。
「あの容姿と名前で常に女が寄ってくるんだけど、そのほとんどがお金、名誉、財産目当て」
「…………」
「しかも征志郎が唯一好きになった女にも裏切られ、そこから特定の人とは付き合わなくなった」
「裏切り……ですか」
「そ。征志郎が初めて自分から見つけた恋人……だけど彼女は征志郎のバックにある如月グループにしか目がなかった」
「ひどい……」
TOMAの過去には女のトラブルがつき纏っていたようだ。
「でも、苺依ちゃんは違う」
「えっ……」
「今まで征志郎の周りにいなかったタイプだ」
「そうですか……?」
「だから君を選んだんだろうね。苺依ちゃんといるときのあいつはすごくリラックスしてるし」
自分が特別な感じに思えて、少し嬉しくなる苺依。
(でも……私とTOMAさんはあくまで契約上の婚約者……いつか皆さまともお別れする日が来るんだろうな……)
TOMAと凛ちゃんの心温まる様子を見ながら、苺依の心は少しばかり曇っていった。
――To be continued