君の隣、1メートル

PROLOGUE

『僕、誰とも付き合えないんだよね。』

冗談みたいに笑って言ったその言葉を、私はうまく聞き流せなかった。

友達のままでいられるほど、私はもう器用じゃなかった。
名前を呼ばれるだけで嬉しくて、目が合うだけで期待してしまう。

なのに彼は、何度も私を特別みたいに扱って、その先には絶対に来てくれない。

――近いのに遠い。

誰よりも優しいくせに、いちばん欲しい言葉だけはくれなかった。
この恋がこんなに苦しいなんて、あの日の私はまだ知らなかった。


――放課後の駅前、人の多い改札の前。
いつも通りの顔をしていたはずなのに、胸の奥だけがいやに冷えていく。
じゃあ、今までのやさしさは何だったの。

そう聞けなかった時点で、たぶん私はもう、ただの友達ではいられなかった。
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