ランチ放送室の消えた一曲
放送室は、職員室の目の前にある。
ノックすると、鍵は開いていた。
「透?」
返事はない。入ってすぐ、机の上の放送用ノートが目に入った。
ページの端に、今日の日付。曲名欄は――空白。代わりに、短い走り書きがあった。
『一曲、消えた。探して。放送室にいる。』背中が冷えた。
「放送室にいる」って、今ここにいるのは私だけだ。その瞬間、背後で「カチ」と小さな音がした。
振り向くと、電源ランプが点いたり消えたりしている。誰も触っていないのに。私は息を止め、近づいた。
そこに、見慣れない小さなUSBが挿さっていた。ラベルには、黒いペンでひとこと。
『昼休みの宝物』…。私は、恐る恐るUSBを抜いた。
手のひらに乗るほどの軽いものが、妙に重く感じる。
「これ、なに…?」放送室のパソコンに挿すと、フォルダが一つだけ開いた。
タイトルは「LUNCHー01」。中には音源が並んでいた。しかも、曲名が変だ。
01−笑い声• 02−机を叩く音• 03−牛乳パック• 04−誰かの「いただきます」
私は固まった。
これ、音楽じゃない。昼休みの“音”だ。さらに、一番下に、たった一つだけ普通の曲名があった。
00(無題)• ファイルを開こうとしたとき、背後のスピーカーが「ザー」と鳴った。
そして、透の声がした。『―もしこれを聞いてるなら、君は気づいたってことだよね』
「透!?」
私は椅子を蹴って振り返った。誰もいない。透の声は続く。録音だ。『今日のランチ放送、流せなかった。いや、流さなかった。
“音楽”って、曲だけじゃないって思ったから』
ざわ、と胸が揺れた。『いつも流してるのって、みんなのためのBGMでしょ。
でもさ、ランチの主役って、ほんとは会話とか、笑い声とか、そういうやつじゃん。
だから試したくなった。
昼休みの音を集めて、ひとつの曲にできないかなって』私は画面の「00-(無題)」をクリックした。
ノックすると、鍵は開いていた。
「透?」
返事はない。入ってすぐ、机の上の放送用ノートが目に入った。
ページの端に、今日の日付。曲名欄は――空白。代わりに、短い走り書きがあった。
『一曲、消えた。探して。放送室にいる。』背中が冷えた。
「放送室にいる」って、今ここにいるのは私だけだ。その瞬間、背後で「カチ」と小さな音がした。
振り向くと、電源ランプが点いたり消えたりしている。誰も触っていないのに。私は息を止め、近づいた。
そこに、見慣れない小さなUSBが挿さっていた。ラベルには、黒いペンでひとこと。
『昼休みの宝物』…。私は、恐る恐るUSBを抜いた。
手のひらに乗るほどの軽いものが、妙に重く感じる。
「これ、なに…?」放送室のパソコンに挿すと、フォルダが一つだけ開いた。
タイトルは「LUNCHー01」。中には音源が並んでいた。しかも、曲名が変だ。
01−笑い声• 02−机を叩く音• 03−牛乳パック• 04−誰かの「いただきます」
私は固まった。
これ、音楽じゃない。昼休みの“音”だ。さらに、一番下に、たった一つだけ普通の曲名があった。
00(無題)• ファイルを開こうとしたとき、背後のスピーカーが「ザー」と鳴った。
そして、透の声がした。『―もしこれを聞いてるなら、君は気づいたってことだよね』
「透!?」
私は椅子を蹴って振り返った。誰もいない。透の声は続く。録音だ。『今日のランチ放送、流せなかった。いや、流さなかった。
“音楽”って、曲だけじゃないって思ったから』
ざわ、と胸が揺れた。『いつも流してるのって、みんなのためのBGMでしょ。
でもさ、ランチの主役って、ほんとは会話とか、笑い声とか、そういうやつじゃん。
だから試したくなった。
昼休みの音を集めて、ひとつの曲にできないかなって』私は画面の「00-(無題)」をクリックした。