恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 思わず目をまたたかせ、龍臣さんのほうを見た。彼は救助隊と一緒になって、母親の救出に挑んでいる。

「すみません、こちらでお預かり――」

「やだ! おいしゃさんのおねえさんがいい!」

 子どもはそう言って、やって来た救助隊員から顔を背けた。

 今すぐこの子を救助隊に引き渡し、龍臣さんのもとへ向かう。それが、フライトナースとしての正しい判断だ。

 だけど……。

 私の脳裏に、事故に遭ったあの日が蘇る。
 あの時、私はひとりぼっちで、すごく不安だった。できることなら、この子のそばで不安を拭ってあげたい。

「救出!」

 救助隊のひとりが大きな声を出す。
 そちらを見ると、龍臣さんはすでに患者の腕に点滴を刺し、ひとりで処置をこなしていた。

 あそこに行かなくては。

 だけど今、この子をあそこに近づけて、龍臣さんの邪魔をするわけにはいかない。
 私には彼女の容態がわからない。この子を連れていったら、パニックになるかもしれない。

 どうしよう、どうしたら……。

 必死に頭を巡らせていたその時、ヘルメットの無線から声が聞こえた。

《こちらベイショアER宇田川。守山、聞こえるか》

「こちら守山。聞こえます」

 慌てて応答すると、彼が一瞬こちらを向いた。それから、龍臣さんは続ける。

《状況を把握した。その子と一緒に、救急車でベイショアERに戻ってくれ》

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