恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「結果、あの子は大事を免れた。それは詩音があの場にいたおかげだし、その後の処置も問題なかった」

 彼の言葉に、胸が騒いだ。
 彼の手の触れたところが、妙にくすぐったい。

「龍臣さんが的確な指示をくださったおかげです」

 恥ずかしくなり、つい視線を下げる。
 すると、龍臣さんは私の頭に置いていた手で、そっと髪を撫でた。

「俺がそうできたのは、詩音が状況を的確に伝え続けてくれたおかげだ」

 龍臣さんの手が、私からそっと離れる。
 それでつい、縋るように彼を見上げてしまった。

「龍臣さん……」

 彼の名をこぼす。すると、顔を逸らされてしまった。

「ずっと立ちっぱなしだったろう。座ろうか」

 彼はそう言うと、立っていた私の横にさっさと腰掛けてしまう。

 少し寂しいと思ったけれど、なんだか心が温かい。
 私はつい頬を緩ませながら、彼の隣に腰掛けた。

「さすがに、俺も疲れた」

 彼はぐっと伸びをする。それから、こちらを振り向いた。

「ちょっとだけ、休憩させてくれ」

 すると、突然彼が視界から消える。
 と思ったら、今度は膝の上になにかがぽすんとのった。

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