恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる

7 彼のためにできること

 嘘の愛でもいいから、龍臣さんのそばにいたい――。
 そう思ってしまってから、一週間が経った。

 今日はER勤務だ。ベイショアERでは相変わらず人気の龍臣さんのお兄さんが、今日も看護師たちの視線を浴びている。

 最初こそ色々と疑っていたが、彼の腕は確かだった。そのことに気づいてから、彼に対して医者としての信頼は置けるようになった。
 それ以外の部分は、まだまだだけれど――。

 お兄さんを見ていると、あの日のことを思い出してしまう。

『君は、本当に龍臣のものなのか?』

 私をヘリと自分の間に囲い込み放った、あの冷たい視線と、低く恐ろしい声色だ。

「詩音さん、回診よろしく」

 ついぶるりと震えていると、当人に声をかけられ体が大きく跳ねた。

「驚かせてごめん」

「いえ」

 私は慌てて席を立ち、笑みを浮かべるお兄さんにぺこりと頭を下げた。

 ベイショアERに入院中の患者を、お兄さんと一緒に看て回る。
 あの日助けた三人家族は、もう回復していた。父親と男の子はすでに退院しており、今は母親のお見舞いに来ているのを時折見かける。

 今日も、皆が命を繋いでいる。
 そのことに安堵しナースステーションへ戻っていると、その道中で院内用スマホが震えた。横居さんだ。

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