恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「詩音さんね。僕は宇田川鷹臣。宇田川病院の次期院長です」
冗談のようにさらりと告げられた言葉に、一度解けた緊張が再び私を襲ってくる。
彼はあの大病院の跡取り。そう、意識してしまったのだ。
お兄さんは私の変化に気づいていないのか、にこにこしたまま私たちを家の中へと促す。
私たちは、玄関からすぐ近くの部屋に通された。
そこはフローリングの床にもかかわらず、和風な造りの部屋だった。
開いた障子戸の奥のガラス窓の向こうには、美しい日本庭園が見える。壁際には多くの調度品や数々の賞状が飾られ、部屋の真ん中にはローテーブルを挟んで向かい合うようにアンティーク調のソファが置かれていた。
お兄さんは、手前のソファを手で指し示す。
「どうぞ。今、父さんを呼んでくるから」
私は宇田川先生にエスコートされたまま、そのソファに腰を下ろした。
お兄さんが部屋を出て行くと、宇田川先生は体の力を少しだけ緩めた。彼も、緊張しているのだろうか。
私は彼と一緒に緊張をほぐそうと、そっと声をかけた。
「お家、内装もおしゃれですね」
「飾り立てただけでは、なにも意味がない」
彼はふんと鼻を鳴らした。そんな彼の言葉には、なにか棘のようなものを感じる。
なんて返そうか迷っていると、宇田川先生が私の耳元でそっと囁くように告げた。
「兄さんには気をつけろ。もし会話に困ったら、なにも喋らなくていい」
冗談のようにさらりと告げられた言葉に、一度解けた緊張が再び私を襲ってくる。
彼はあの大病院の跡取り。そう、意識してしまったのだ。
お兄さんは私の変化に気づいていないのか、にこにこしたまま私たちを家の中へと促す。
私たちは、玄関からすぐ近くの部屋に通された。
そこはフローリングの床にもかかわらず、和風な造りの部屋だった。
開いた障子戸の奥のガラス窓の向こうには、美しい日本庭園が見える。壁際には多くの調度品や数々の賞状が飾られ、部屋の真ん中にはローテーブルを挟んで向かい合うようにアンティーク調のソファが置かれていた。
お兄さんは、手前のソファを手で指し示す。
「どうぞ。今、父さんを呼んでくるから」
私は宇田川先生にエスコートされたまま、そのソファに腰を下ろした。
お兄さんが部屋を出て行くと、宇田川先生は体の力を少しだけ緩めた。彼も、緊張しているのだろうか。
私は彼と一緒に緊張をほぐそうと、そっと声をかけた。
「お家、内装もおしゃれですね」
「飾り立てただけでは、なにも意味がない」
彼はふんと鼻を鳴らした。そんな彼の言葉には、なにか棘のようなものを感じる。
なんて返そうか迷っていると、宇田川先生が私の耳元でそっと囁くように告げた。
「兄さんには気をつけろ。もし会話に困ったら、なにも喋らなくていい」