恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 どういうこと?

 頭に疑問が浮かぶが、それを宇田川先生に聞く前に、部屋の扉が開く音がした。
 私は宇田川先生に腰を抱えられたまま立ち上がり、扉のほうを向いて背を正す。

 入ってきたのは、昨夜インターネットで見たのと同じ人物。短く切りそろえられた白髪交じりの口髭が印象的な彼は、宇田川病院の院長――宇田川先生のお父さんだ。

 威厳たっぷりの姿に、私の体は硬直してしまう。すると腰を抱く宇田川先生の手に、わずかに力が込められた。
 それで、はっと自分を律した。しっかりしなくては。

 お父さんが目の前にやってくる。私は最初こそ肝心だと、丁寧に頭を下げた。

「守山詩音と申します。静和大学附属病院救急救命センターで、看護師をしています」

「なるほど、詩音さんもベイショアER勤務。職場恋愛なんだ」

 そう言ったのは、お父さんの後ろからひょっこり現れたお兄さんだ。

「ああ」

 宇田川先生はそう言って、私の腰をぐっと自分のほうへ抱き寄せた。

 やがてお父さんとお兄さんが私たちの前に腰掛ける。
 私と宇田川先生もソファへ腰を下ろすと、すぐにお父さんが口を開いた。

「あなたもまた、救急科の人間なんだな」

 静かな、威厳のある声。見た目通りの重々しい声色に、私は緊張しながら答えた。
 同じ医療関係者として、きっと私の心情もわかってくださるはずだ。

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