恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 彼女がフライトナースに選任されたのは、一年半ほど前のことだ。
 ベイショアERでドクターヘリが運航開始してから、三年が経った頃だった。

 彼女の経歴は珍しかった。彼女はここ静和大学附属病院でドクターヘリが運航開始すると知って、この病院に転勤してきたらしいのだ。

 転勤当初から救命科への希望を出していた彼女は、二年という異例の早さでベイショアERへとやってきた。
 そしてその半年後、最年少でフライトナースになった。

 当時、フライトナースは体力のある男性がなることが多く、ベイショアERも女性のフライトナースは彼女が初めてだった。

 出動要請から三分以内にヘリに乗り込まなければならない、待ったなしの救命の現場。
 そのうえ、ドクターヘリは患者の状態や現場の状況など、行ってみなければからないということが少なくない。

 フライトナースはその中で、ドクターとともに患者に処置を施すのはもちろんのこと、患者家族や救急隊とのコミュニケーションも的確に行う必要がある。

 二十代そこそこで経験も浅く華奢な彼女に、それが務まるのか。
 最初こそ疑念を抱いていたが、その必要はないとすぐにわかった。

 彼女はホットラインが鳴ると、必ずドクターより早くヘリに乗り込んでいた。
 勤務中は、どんなに忙しくてもフライトナースとしての自身の動きに対し先輩や医者に意見を求め、さらに症例や知識を自ら学んでいた。

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