恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 それだけにとどまらない。
 彼女は救急隊員とも交流を深めることで、ドクターヘリをスムーズに運用できるよう実践していたのだ。

 今までのフライトナースは、こんなに〝人〟に寄り添っていただろうか。

 それに、彼女は冷静でもあった。
 周りを見て、患者や家族に寄り添う対応したかと思えば、搬送時には戦士の目になるのだ。

 見ているだけでも伝わってくる、彼女の精神力の強さや使命感は、ひっきりなしに患者の運ばれてくるこのベイショアERにふさわしいと思う。
 だからこそ、彼女はここに最年少で拝命されたのだろう。

 配属から一ヶ月が経つ頃には、彼女は俺の中で〝頑張り屋で冷静なナース〟という印象に変わっていた。

 そんな彼女が成長しないわけがない。
 彼女は配属から半年後には、隣で処置をするドクターの俺にとっても、すでに信頼のおけるフライトナースになっていた。

 多い日には八回ほどの出動要請がかかる日もあるが、それでも彼女は毎回のフライトで同じ目をしていた。

〝救いたい〟
 そう、書いてあるような顔つきだった。

 俺と同じだ。

〝医者の責務は、人の命を救うこと〟

 医師になりたての頃にそう心に誓った俺は、同じERで働く彼女をつい目線で追ってしまうようになった。

 だが、いつも冷静な彼女が心を乱しているのを、目撃してしまったことがある。

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