恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 昼休憩になり、私は職員用のカフェテリアへ向かった。

 今日のメニューはローストビーフ丼。
 ほかほかご飯の上にたっぷりのローストビーフがのったそれは、私の楽しみにしているメニューのひとつだ。 

 ほっと落ち着けるひと時。私はさっそくそれを受け取ると、空いていた席に腰掛け箸を手にした。
 それから、小さな、だけど弾んだ声で挨拶を口にした。

「いっただっきまー……」

「詩音、いったいどういうこと!?」

 突然飛んできた大きな声に、肩をぴくりと揺らしてしまう。

 振り向くと、同じものをトレーにのせた夏子が立っていた。外来も、午前の診療が終わったところらしい。

 彼女は私の隣にトレーを置き、そこに腰掛けると声を潜めて私に言う。

「なんで詩音が渦中の人になってるのよ」

「あー……あはは、ごめん」

 言葉を濁して伝え、私はローストビーフ丼を頬張る。
 しかし、彼女は私にしかめ面を向け、さらに声を潜めた。

「宇田川先生と結婚なんて、なにか裏があるとしか思えないんだけど」

 彼女は私がいかに看護師馬鹿で、フライトナース以外のことに無頓着かを知っている。
 恋愛を後回しにしてきたことも、結婚が私と対極のものであることも、全部知っているのだ。

「そりゃ、詩音のおばあちゃんを助けた時の宇田川先生はかっこよかったよ? でもまさか、詩音がそれで恋に落ちるなんて――」

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