恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「いただきます」

 両手を合わせて挨拶をして、さっそくお椀に口をつける。
 そんな私の目の前で、彼はあの茶碗を手に、黙々と白米を口に運んでいた。

 私たちは愛のない、偽装の夫婦だ。それはわかっているけれど、なんだか少し嬉しい。

「お茶碗、ありがとうございました」

 小さな声でそう言って、私も彼とお揃いの茶碗を手にとる。
 彼がこちらを見たような気がしたけれど、私は恥ずかしくてそのまま淡々とご飯を食べ続けた。

 今日は私も龍臣さんもER勤務だ。救急患者が運ばれてくれば顔を合わせるかもしれないけれど、基本的に私はナースステーション、彼は二階の医局にいる。

 今日もERは落ち着いていて、彼と顔を合わせなくてよいことにほっと安堵していた。

 私たちの関係は、今や静和大学附属病院内すべてのドクターやナースたちの話題になっている。
 不愛想で怖いイメージのある、しかも宇田川病院の息子である龍臣さんと、なんでもない一介のERナースが突然結婚した――しかも、こっそりお付き合いをしていたという偽装過去つき――のだから、当然といえば当然である。

 私は朝から、ER病棟に入院中の患者を看て回った。
 何度か救急治療室に患者が運ばれてきたが、それでも今日はベイショアERにゆったりと時間が流れている気がする。

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