恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「詩音は私の秘密も抱えてくれているでしょう? だから、もしつらいこととか、ひとりで抱えきれないことが起きたりしたら――いつでも話してね。私も、誰にも言わないからさ」

 彼女はそう言うと、私の耳元で囁くように続けた。

「おばあちゃんのためだろうとは、察しがつくから」

 彼女は私から顔を離し、にこっと微笑む。

「詩音のことだもん」

「な、夏子~」

 つい、彼女に抱きついてしまった。

 図星だったことには特に驚かない。彼女は、私がどれだけおばあちゃんっ子かを知っているからだ。

 だけれども、こんなに優しい。それだけで、龍臣さんとの偽装の関係を続ける罪悪感がちょっとだけ和らぐ。
 持つべきものは、心の友だ。

「あはは、私、愛されてるなあ!」

 夏子はそう言って、残りのローストビーフを口に運んだ。私も、軽くなった心で箸を口に運ぶ。

 するとその時、院内用スマホが震えた。私のものだ。
 その画面を見て、即座に言った。

「ごめん、急患だ」

 急いで目の前のローストビーフを口に掻き込む。

「行ってらっしゃい。食器は片づけておくから」

 夏子は言いながら、もう私のトレーを自分のものと重ねている。

 私は彼女にごめんと手を合わせながら、咀嚼していたものを急いで飲み込みERへと戻った。

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