恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
一度気づいてしまえば、そのほうが正しい気がしてくる。だって、私たちの間に愛はない。
それに、結婚前までは私も彼に対して周りと同じ印象を抱いていた。
彼は〝冷徹で不愛想な医者〟なのだ。
『兄さんは、勘が鋭い。きっと、怪しまれていると思う』
龍臣さんの実家に伺った時の彼の言葉が、頭の中に蘇る。
お兄さんに怪しまれないために、私を手懐ける。計算高い彼なら、そういう方法をとるのも不思議じゃない。
ちらりと運転席を見ると、龍臣さんはいつもと同じ顔をしている。それで、胸にあるこの思いが確信に変わった。
私はつい、体からどっと力を抜いてしまった。私ばかり振り回されて、馬鹿みたいだ。
龍臣さんは最初から、こうなることを見越していたんだ。私との関係が偽装だとバレないようにと、尽くすふりをしてくれていただけ。
それなのに、まんまと引っかかって、彼のことを優しいと思い込んで――。
鼻の奥のほうがツンとして、慌てて洟をすすった。
すると今度は、目の前の赤信号がぼやけてしまう。
ああ、なにを傷ついているんだろう。
最初から決めていたじゃない。この結婚は、互いの利害が一致しただけの、愛のないものだって。
それなのに……。
涙がこぼれそうになり、慌てて目元を手で覆った。
それに、結婚前までは私も彼に対して周りと同じ印象を抱いていた。
彼は〝冷徹で不愛想な医者〟なのだ。
『兄さんは、勘が鋭い。きっと、怪しまれていると思う』
龍臣さんの実家に伺った時の彼の言葉が、頭の中に蘇る。
お兄さんに怪しまれないために、私を手懐ける。計算高い彼なら、そういう方法をとるのも不思議じゃない。
ちらりと運転席を見ると、龍臣さんはいつもと同じ顔をしている。それで、胸にあるこの思いが確信に変わった。
私はつい、体からどっと力を抜いてしまった。私ばかり振り回されて、馬鹿みたいだ。
龍臣さんは最初から、こうなることを見越していたんだ。私との関係が偽装だとバレないようにと、尽くすふりをしてくれていただけ。
それなのに、まんまと引っかかって、彼のことを優しいと思い込んで――。
鼻の奥のほうがツンとして、慌てて洟をすすった。
すると今度は、目の前の赤信号がぼやけてしまう。
ああ、なにを傷ついているんだろう。
最初から決めていたじゃない。この結婚は、互いの利害が一致しただけの、愛のないものだって。
それなのに……。
涙がこぼれそうになり、慌てて目元を手で覆った。