恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「どうした?」

 運転席から彼の声が飛んでくる。

「今すれ違った車のライトが、なんだか眩しくて」

 私はそう言い訳をして、必死に涙をのみ込んだ。

 いくら『頑張らなくていい』と言われても、頑張りたい。
 だって、彼が優しくしてくれたのは、それに私が救われたのは、事実だから……。

「今日の夕飯は、私がつくりますね」

 まずは彼のために、できることから。
 そう思って言うと、龍臣さんがくすりと笑った気がした。

 買い物を終えて、帰宅する。
 夕飯をつくり終えると、私は夫婦茶碗にふたり分のご飯をよそった。

 龍臣さんは私のつくったご飯を、淡々と平らげてくれた。

「ありがとうな、詩音」

「いえ、お互い様ですから」

 本当は、ちょっとだけ気持ちが入っている。だけど、そんなことは言えない。
 私も食べ終えると、彼は立ち上がりお盆を手にした。

「後片づけも、私がやりますから」

 慌ててそう言ったが、彼は眉を曇らせる。

「いや、やらせてくれ。今日一日、気を張っただろう。それなのに、夕飯まで。本当に、感謝しているんだ」

 彼の言葉は嬉しい。はずなのに、その言葉の裏を読んでしまう自分が悲しい。
 つい俯いてしまい、そのまま席を立つ。だがその瞬間、体が温かなものに包まれた。

「え……?」

 ふわりと、彼の香りが鼻腔をくすぐる。どうやら、龍臣さんに抱きしめられているらしい。

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