紫色の恋をした
碧の手が私の頭を撫でていく。その目は切なさを含んでいた。私も切ない。碧と双子なことがこんなにも悲しいなんて、あの時は想像すらしてなかった。

「碧、私も同じ気持ちだよ……」

三年前、ママから実は双子の弟がいると聞かされた時はただ驚いた。ママは私たちが物心つく前にパパと離婚した。私はママに、碧はパパに引き取られた。

パパと碧はずっと海外で暮らしていた。でも三年前に日本に帰ってくることになって、その時に初めてパパと碧に会った。碧を初めて見た瞬間、胸が高鳴った。恋に落ちてた。碧も同じだった。

パパと碧は隣県で暮らしていて、月に一度、こうして私に会いに来る。その時だけ、私の部屋の中でだけ、私と碧は「秘密の恋人」になれるんだ。

「ねぇ、翠。ピアノ教えてよ」

「うん。いいよ」

私がそう言うと、碧は私の背後に回る。そして私の手に自分の手を重ねた。後ろから抱き締められているみたいでドキドキする。

ピアノの音が響く。美しいのに、どこか切ない旋律。これはまるで私たちみたいだ。
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