ぼくと世界とキミ

全てが終わり……無心で墓を掘った。

……大切な人達の墓を。

最後の墓を掘り終わると、冷たくなった彼女を抱き起こした。

すでにその小さな体は温もりを失い、まるで人形の様に見える。

泥と、傷だらけの頬にそっと手を触れると、彼女の唇に……そっと口付けた。

初めて重ねた彼女の唇は……血の味がした。

彼女の唇の血を指で拭い、彼女をゆっくりと穴に下ろす。

パラパラと土をかけると、次第に彼女の姿が見えなくなっていく。

……もう優しく笑ってくれる事もない。

……子供の様に泣きじゃくる事もない。

廃材で作った十字架を立て……彼女の名前を刻んだ。

……きっと、寂しいだろう。

真っ赤なリボンを十字架に結んだ。
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