ぼくと世界とキミ
第三十話 激甘砂糖菓子大作戦

「ロイ様!グレノア軍の姿を確認しました!!」

その兵士の声と共に部屋から飛び出すと、急いで世界樹へと向かった。

城を出て世界樹まで走ると、そこにはジルが少し緊張した様に眉を顰めながら立っているのが見える。

「早く着替えろ!!」

そう言って走り寄って来た俺にジルは重々しい鎧を投げて寄こす。

それを何とか上手くキャッチすると、その重々しい鎧をせっせと着込んだ。

銀色に鈍く光る鎧はとても重く、こんなのを着て戦ったら余計に戦力が落ちるんじゃないかとどうでもいい考えが頭を過る。

しかしそれを無視して鎧を着ると、両手を広げジルを振り返った。

「なぁなぁ、似合ってる?」

そう冗談っぽく問いかけると、ジルは呆れた様に特大の溜息を吐いた。

「全軍撤退!!グレノア軍の目の届かない所まで後退しろ!!」

そのジルの掛け声と共に兵士達は頭を下げると、慌ただしくその場を去って行った。
 
がッシャンがッシャンと重たい鎧を揺らしながら身を低くして崖の先へと進むと、そこにはもう目前までグレノア軍が迫って来ているのが見える。

黒い鎧に身を包んだ兵士達は皆武器を片手に、規則正しく並んだままこちらむ向かって来ていた。

そっと空を見上げるとさっきまであんなに晴れていた空が、また黒い不吉な雲に覆われて行くのが見えた。

「……噛むなよ」

ジルはそれだけ言って俺の肩を叩くと、スタスタと早足で俺から離れて行った。

それから暫くすると、ついにグレノア軍が崖の下を取り囲む様に集まった。

確認する様に後ろを振り返ると、遥か彼方に隠れるように屈んでいるアシュリーとセリアがコクリと頷いて返す。

……よし!!

同じ様にコクリと頷いて返すと大きく息を吸い込み、それから勢いよく立ち上がった。
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