ぼくと世界とキミ

ベッドに寝転がったまま窓から外を眺めると、美しい満月が空に浮かんでいた。

呑み込まれてしまいそうな美しい月を見つめたまま、昼間の出来事を思い出す。 

(俺は人間が嫌いだ)

森で出会った魔族の男の言葉が頭の中に響く。

(だからお前も嫌い。……消えろ)

男のその言葉だけが、何度も何度も繰り返し頭の中を廻った。

魔族とは獰猛で恐ろしく人間を狩る悪しきモノだと何度も教えられてきた。

でも彼は……本当にそんな悪い奴なんだろうか。

だって結局あの人は僕を襲ったりしなかった。

もう一度……会ってみたい。

急に浮かんだその願望に、ベッドから勢いよく起き上る。

……もっとあの人を知りたい。

そんな事を考えながら急いで着替えを終えると、そっと部屋を出た。

城内は静まり返っていて、人の気配は無い。

しかし警護の兵士が城を見回っているはずだ。

その兵士に気付かれない様に、息を殺し忍び足で城門へと向かう。

幸運な事に誰にも見つからないまま城門まで来ると、城門前の兵士達の姿が目に留まった。

城門前はガッチリ警備されていて、ここからはとても出られそうにない。

……裏から出よう。

城の城壁伝いに歩き城の真裏に回ると、そのまま塀をよじ登って外に出た。
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