ぼくと世界とキミ

それからジルの頬に何度目かの平手打ちを喰らわせた時だった。

「……ん」

ジルが小さく吐息を漏らし、ゆっくりと目を開ける。

「ジル!?大丈夫か!?」

「……ロイ?ここは……っ!」

彼が目を覚ました事に安堵し満面の笑みを浮かべると、ジルは真っ赤に腫れた頬を押さえながらゆっくりと起き上がった。

「な、何なんだ……一体」

ジルは何故かジンジンと赤くなっている頬を押さえたまま、不機嫌そうに眉を顰めている。

……や、やり過ぎたかな。

「わ、わからない。急に眩しくなったと思ったらここに居たんだ。お前は気を失って倒れてるし……もうどうしようかと思ったよ」

そう言ってホッと息を吐いて見せると、ジルは小さく「すまない」と謝った。

もちろん……再三ジルに平手打ちを喰らわせた事は絶対に内緒だ。

そんな事がバレれば後からどんな仕打ちを受けるか……考えただけでも背筋が寒くなる。

ジルは未だ状況が理解できない様で、頬を押さえたままキョロキョロと辺りを見回していた。

……俺だって未だになんでこんな事になっているのか理解できていない。

そんな事を考えたまま立ち上がった……その時だった。
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