ぼくと世界とキミ
「……よく来ました。ロイ、ジル」
突然後ろから声が聞こえ、ビクッと身を竦めた。
その声の聞こえた方へそっと振り返ると、そこには……一人の女が立っていた。
いや……立っていると言うのは適さないかもしれない。
女は地面から数センチ程……浮いているのだ。
透き通り微かに不思議な光を放つ白い衣を纏った美しい女の人だった。
流れる様なサラサラの黒髪に、慈愛に満ちた優しい瞳。
しかしどこか普通の人間では持ち得ない……奇妙な雰囲気を感じた。
微かに悲しい笑みを湛えたその女は、真っ直ぐに俺達を見つめている。
「……何者だ」
ジルはそう言って鋭い視線を女に向けると、臨戦態勢に入った。
「私は……《セレス》。この世界を創りし者。貴方達が《神》と呼ぶ存在」
そんなジルの動きを横目に、自らを《神》と呼ぶ女は優しく微笑んだ。
「……神様だって?」
思わず声を漏らすと、女はコクリと小さく頷いて答える。
……事態が全く飲み込めない。
ジルも困惑した様に瞳を揺らし、困った様に眉を顰めていた。
「この世界は私が創りし物。大地も海も、木々も花も、鳥も魚も、そして……人間も」
女はこちらの様子などお構いなしにそう言うと、それから真っ直ぐに俺を見つめた。