ぼくと世界とキミ

「ところでセリア。あとどの位で森を抜けるんだ?」

「……え?」

そのジルの問いにセリアは歩く足を止めて、気の抜けた声を漏らした。

その瞬間、辺りにシンとした静寂が広がる。

「……え……って、お前まさか……道も分らないまま歩いてきたのか!?」

「誰も何も言わないから、こっちで合ってるのかと思って!!……ジルが知ってると思ってたのに!!」

驚いた様に声を上げたジルに、セリアはジルと同じ様に驚いた顔をしてポカンと口を開けた。

「お前、今自分で《案内役》って言ってただろ!?どこが案内役なんだ!?」

ジルが呆れた様に溜息を吐き、非難の視線をセリアに送った。

「私の役目はマナを探す事なの!!こんな森の道なんか知ってるわけないでしょ!!」

ジルの態度にカチンと来たのか、セリアは眉をひくつかせながら引き攣った笑みで声を荒げる。

……ま、まさか……迷ったのか。

キョロキョロと辺りを見回すが、すでにどうやってここに来たのかも思い出せない。

どこまでも深い森が続き、右も左も正面も全てが同じ景色に見えた。

……ど、ど、ど、どうしよう。

アワアワとする俺のその横で、二人はギャンギャンと喚き合い、それはさらにヒートアップしていく。

……俺達は早くも迷ってしまったんだ。

……どうする?……どうしたら……

「二人とも!騒いでる場合じゃないって!!」

白熱する二人を宥め様と声を荒げた……その時だった。
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